ブラケット記法の機微 双対 vs 内積#
Diracによるブラケット記法は, 量子論における標準言語として広く用いられている. 彼の教科書 の冒頭付近で, その原理と使い方が系統的かつ要領よく説明されている. 基底に依存しない記述が可能, 固有値が離散, 連続どちらの場合も統一的に扱える, 式の見通しがよく, 計算が簡単になるなどの利点をもつ, 非常に優れた記法である.
現在では, 量子論に関連する文献の多くはブラケット記法を採用している. しかし, 学部生向けの量子論の教科書で、ブラケット記法を系統的に扱っているものは意外に少ない. ここでは, 初学者には少し難しいという配慮以外に, ブラケット記法の普及を妨げる原因となっている「誤解」の存在を指摘したい.
[1] 第2回 QUATUO研究会 (2013.1.6) 資料 pdf
[2] 第3回 QUATUO研究会 (2014.1.11) 資料 pdf
[3] 日本物理学会誌 Vol. 68, No. 4, p. 239 (2013) pdf
[4] 岩波講座 現代物理学の基礎 量子力学 I の修正 link