磁場はBだけではうまく表せない

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磁場はBだけではうまく表せない#

最近の「大学の物理教育」に掲載された論文 [1] は, 磁場を表すのに \(\vct B\)\(\vct H\) の2種類があり, 教育上支障があるので, \(\vct H\)はできるだけ用いずに, \(\vct B\)を中心にすることを提案している。

2種類の磁場があると、生徒が混乱するというのが表向きの理由であるが、 掲げられている\(\vct H\)を排除すべき根拠を見ると、 行き過ぎたE-B対応の考えやGauss単位系に対する愛着が背後にあるように思われる。

現代の電磁気学は、SIの使用を前提に、4種類の場 \(\vct E\), \(\vct D\), \(\vct B\), \(\vct H\) と2つ (実質は1つ) の定数 \(\varepsilon_0\), \(\mu_0\) を用いて 組み立てられている [2]

ここに部分的にGauss単位系の考え方を復古させることは、新たに電磁気学を学ぼうとしている若者を混乱させるだけである。

\(\vct B\)\(\vct H\) は SI では単位が異なっており、異なった物理的意味を担っている。 また、異なった保存則 \(\diver\vct{B} = 0\), \(\curl\vct H = \vct J\) を満たしているので、 それぞれの意味づけをしっかりする必要がある。 そのような趣旨の論文 [3] を投稿したので、読んでいただきたい。